2016年から2017年にかけて、医療や健康、ヘルスケアなどの情報を取り扱うキュレーションサイトの「WELQ」(DeNAが運営)が閉鎖され、他のキュレーションサイトも閉鎖や記事の非公開が相次ぎましたが・・

その「WELQ問題」以降、いつしか「キュレーションサイトとは、専門的な知識を持たない素人のライターがWEB上にある文章や画像をパクッてまとめただけの信憑性の低い無断転載サイト」といったものに成り下がってしまった印象があり・・これが残念でしかたない。

IT用語としては、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有することを言う。キュレーションを行う人はキュレーターと呼ばれる。
キュレーターの語源は、博物館や図書館などの管理者や館長を意味する「Curator(キュレーター)」からきている。:コトバンク

そもそもキュレーションとは、図書館や博物館などの”館長(キュレーター)“を意味する高尚な言葉からきていて、「キュレーションサイト=情報をまとめて新しい価値を生み出すサイト」のことです。

なので、単純に「起こった問題」と、本来の「言葉の意味」をすり替えて「キュレーションサイト=パクリサイト」「キュレーションサイト=デマを拡散するサイト」なんてとんでもない。ここではもう1度原点に戻って「読者に役立つキュレーションサイトとはなんぞや?」っていうのを考えていきたいと思います。

そもそもキュレーターの役割って何?

例えば、膨大な数の本を所有する書店で、ただ本のタイトルを「あ」から五十音順に並べるだけなら誰でも(時間をかければ)できるわけですが、書店に足を運んでいる人は「自分が探している本のタイトル」を知っているとは限りません

  • 「何か面白そうな本はないかな?」
  • 「〇〇が書かれている本はどれだろう?」
  • 「〇〇について書かれている本のなかで1番自分に分かりやすい本はどれかな?」
  • 「〇〇を身に付けるためにはどの本とどの本の組み合わせが良いだろう?」

といった感じで本を探します。もし、すべての書籍が五十音順に並べてあるだけなら、自分の感覚だけを頼りに(本のタイトルを知らなければ手探り状態で)探し出さなければなりません。

でも、適切にジャンル分けされて陳列されていたり、出版社や作者別に並べてあったり、文庫本・コミック・雑誌などの種類ごとに区分けされていたり、人気コーナーが特設されていれば、「この辺にありそうだな!」と、自分の目当ての本がとても探しやすくなります。これがキュレーターの重要な役割なわけです。

また、美術館や個展の館長であれば、来館者に分かりやすく整理・陳列するためには、当然そのジャンルについて精通していなければできません。場合によっては来館者に寄り添い、相手の知識レベルを察したうえで「作品の解説や作者の生い立ち」などを話して楽しんでもらい、より深く作品に接する機会を与えることができる人が高尚なキュレーター(ガイドの役割も担う)だと言えるわけですね

情報を分類して新しい価値を生むってどういうこと?

図書館(書店)や博物館・美術館の館長と言われてもいまひとつピンときませんが・・ちょっと周りを見渡せば「専門的な知識やセンスを活用して、素敵な商品・サービスを集めて陳列し、新しい価値を生み出している(キュレーションしている)セレクトショップ」などはたくさんあります。

BEAMS

KALDI

「BEAMSに行けば自分の欲しい服が置いてある」と考えているファッション好きの若者も多いでしょうし、「コーヒー豆や世界の珍しい食品が買えるKALDI」を愛用している女性もいるでしょう。

なんの情報も無い状態で洋服を探そう(ウィンドーショッピングが目的であればそれはそれで楽しい)と街に出ても、気に入った服が見つからないまま1日が終わってしまったり、珍しい輸入食品を食べてみたいけど安全性とか考えると気軽に買うことができない

そんなときに、おしゃれな服をセレクトしていたり、安心して購入することができる輸入食品を集めているお店は、お客さんの探す手間や時間を短縮したり、センスを共有したり、安心感などの”新しい価値“を生んでいるわけですね。

キュレーションサイトの役割とは?

運営者が自分の知識や経験、センスなどを活かしてキューレーションすることでもたらされる価値(時間の短縮・センスの共有・安心感など)は「商品を販売するリアルの店舗」でも「情報を扱うインターネット上のサイト」でも同じです。

インターネットが普及してから現在では、yahoo!などのポータルサイトや個人のブログ、SNSなどが身近になり、インターネットの普及以降、流通する情報量は倍増していますが、人の情報処理能力はほとんど変わらないことが下のグラフからわかります。

情報の引用元:我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量に関する調査研究結果

情報量は年々増加していくけど、人間が消費する情報量は変わらない。そんな状況のなかで「〇〇に関してはこのサイトを見れば分かるだろう」「□□についてはあのサイトがいいな!」といった具合に・・

膨大な情報が溢れるインターネットの世界のなかで、ユーザーは”多くの情報を消費する”のではなく、”情報の質を選別する”ようになり、料理レシピや旅行、ファッションなど特定のジャンルに特化した情報をまとめた「キュレーションサイト」がその役割を担っていったわけですね

特定のジャンルに特化したキュレーションサイト

nanapi

macaroni

RETRIP

YAMA HACK

Beauty MAGAZINE

antenna

WELQの2つの問題について

本来、膨大な情報の中から有益な情報をまとめて、ユーザーに新しい価値を提供する役割であったのにも関わらず、「格安の外注ライターを使って(パクリや無断転載)記事を量産」したり、「医療などのナイーブな情報を扱っているのに信憑性の記事を公開」し、いつのまにか運営者が儲かるためだけのPV至上主義のキュレーションサイトとなってしまったわですが、その結果・・

・運営元は損失だけではなくブランドイメージを落とし
・広告主や提携パートナーは迷惑を被り
・ライターは記事を書くことの意義を削がれ
・検索ユーザーは巨大メディアの情報すら信じられなくなり
・Googleは検索精度の信頼度を落とす

という、Lose-Lose-Loseの誰一人幸せにならない構図が生まれてしまったわけですね。

現在ではGoogleも「検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く、品質の低いサイトの順位が下がります。」と公言しているので、サイト内のコンテンツの量やインデックス数を評価するアルゴリズムをハックするような手法は通用しなくなっていきます。

ユーザーに有用で信頼できる情報を提供することよりも、検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く、品質の低いサイトの順位が下がります。その結果、オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されるようになります。:Googleウェブマスター向け公式ブログ(日本語検索の品質向上にむけて)

つまり「有益な情報を発信するサイト」、「読者を楽しませるためのエンターテインメント性のあるサイト」、「個人の趣味や特技を公開しているオリジナリティーのある趣味サイト」であったり、「読者を第一に考えたUI(サイトの使いやすさ)や、ページを見た人が感じるのUX(サイトで得られる体験価値)が最適化されたサイト」が、ちゃんと評価されていくようになっていくでしょう。

また、YMYL「YourMoney(お金)・YourLife(生活)」と呼ばれる、お金や健康、安全や法律に関わる情報ページは、それを読む人の人生レベルに重大な影響を与える可能性があるため、Googleは慎重に判断するようになっていきます

Some types of pages could potentially impact the future happiness, health, or financial stability of users. We call such pages “Your Money or Your Life” pages, or YMYL. 検索品質評価ガイドライン

つまり、検索需要が高そう(儲かりそう)だからといって、安易に自分の専門分野ではないジャンルのサイトを立ち上げても、読者はそれを察知しますし、検索エンジンからの評価を得ることは難しくなっていきます。とはいえ、「YMYLに関わる情報サイトは作らない方が良い」というわけではありません。

あなたが医療や投資の専門家であれば、デマやウソの情報を発信している既存のサイト情報によってユーザーが判断を間違ってしまわないように、しっかりと情報発信していく必要があるでしょうし・・

高度な専門性と信頼性(権威)のある発信者の情報が評価されていくことによって、低品質なサイトが検索に上がらないようにしていくことも、情報発信者としての役割だと言えるでしょう

ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。

読者から評価を集める「人気のキュレーションサイト」を運営するためには、さまざまな体験をして自分の感性やスキルを高めたり、「高度な技術や専門知識を持ったライター」などに記事を書いてもらう場合もあるでしょう

また「自分の足で取材にいくインタビュアー」や「オリジナルのコンテンツが作れる優秀なクリエイター」、「商品やサービスを魅力的に伝えることができるコピーライター」に依頼すれば多くの執筆料もかかってくるので、当然しっかりと収益化していかなければなりません。

ただ、運営者は「儲かるためにSEO対策をしてアクセスを集める」という考えではなく、「読者に評価されるような情報を発信し続けていくことによって、結果的にアクセスが集まりしっかりと収益化することができる」という、もう1度”原点”に立ち返ることが大切なわけですね。

ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。 by Google

この後からついてくる「他のもの」については具体的なことは言っていませんが、「検索エンジンに評価される」「アクセスが伸びて収益性が高まる」といったことが含まれているでしょうし・・

ユーザーに焦点を絞れば「どんなことを知りたいと思っているのか?それに対して自分はどんな情報を与えることができるのか?」を考えたり、「どうすれば読者にとって記事が読みやすくなるのか?」を意識した記事構成やデザインレイアウトを工夫できるようになり、他社(他者)には真似のできない独自の価値を提供できるということを示しているのだと思います。

読者から評価を集める「人気キュレーションサイト」を作ろう!

WordPressテーマを提供しているTCDでは、これまでブログを読む人にとって使いやすく、デザイン性に優れた多くのテーマをリリースしてきましたが、第53作目となる「Bloom」は、有益な情報を発信するブロガーのための「おしゃれな進化系ブログテンプレート」として完成させました。

ファッションやカルチャー、エンターテインメント、ダイエットやグルメ、旅行などのキュレーションサイトに最適なWordPressテーマ「Bloom」を活用いただき、ぜひ読者から評価を集める「人気キュレーションサイト」を作ってください。

WordPressテーマ「Bloom」の詳細を確認する

新しいライフスタイルを提案するキュレーションサイトの活用イメージ

おしゃれなコーディネートを紹介するファッションサイトの活用イメージ

旅行に関する情報をまとめたトラベルサイトの活用イメージ

美容と健康を大切にするダイエット情報サイトの活用イメージ

WordPressテーマ「Bloom」の詳細を確認する

合わせて読みたいWordPressテーマ【Bloom(tcd053)】の関連記事

第1回 : 「キュレーションサイトを運営して収益化を考える」と、その前にもう1度「原点」に立ち返っておきたい話
第2回 : ブロガーが欲しかった!WordPressテーマ「Bloom」に搭載された”PVを伸ばす”ための5つの新機能
第3回 : 「おしゃれなブログを作りたい。でも、しっかりと収益化したい」そんな希望を叶えるWordPressテーマ