UX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉は、聞いたことはあれど、あまり馴染みがないかもしれません。意味を一言で現すならば、「ユーザー体験」となります。ユーザーが存在するものには常に存在するのがUX。サイト運営をしていても、UXは重要です。特にサービスや商品をサイトで販売するとなれば、快適にサービスを利用してもらうために、UXについて徹底的に考える必要があります。この記事ではUXについて基礎的なことを解説していきます。

UX(ユーザーエクスペリエンス)って何?

先に簡単に触れましたが、ユーザーエクスペリエンスは、製品やサービスを通じて、「ユーザーの得られる体験価値」です。インターネットを通じてサイトにアクセスするユーザーのUXというと、そのサイトの使いやすさ、わかりやすさ、使い心地や印象などユーザーの気持ちの面もUXの意味に含まれます。このようにUXではデザイン意外の見えない部分も考えなくてはならないのです。

つまりはユーザーにとって、そのサイトが使いやすいだけでなく、気持ちよく製品やサービスを購入できないと、良いUXの条件を満たすとは言えません。サイトを通じて物を売るとなると、ユーザーは最後まで満足しないと、購入手続きまで進みません。リアル店舗でサービスを提供する場合でも同じくです。

物を売るときにUXはとても重要になります。たとえばスマホを販売するとして、使い勝手の良いスマホと、使いにくいスマホがあると、どちらを買う人が多いでしょうか?おそらく通常は前者を選びます。使い勝手が良いことはスマホ購入者にとって心地よく満足度が高いUXになるからです。しかしそこに腕利きの販売者がいたらどうなるでしょうか。顧客のパーソナリティを読み解き、ジャストな提案をすることで商品比較だけでは選ばれなかった製品を選ばせるかもしれません。それは決して押し売りではなく、寄り添った提案により顧客のUXを高める提案ができているからです。ブランドを購入してしまうことも所有欲を満たしたい。満たせそうだ。というUXがずば抜けているからにほかなりません。顧客を大満足させるUXによって、そのメーカーのファンとなり、繰り返し購入してくれるありがたいお客様になるかもしれないわけです。

ユーザーにサイト・商品・サービスを提供する場合は、価格や料金の安さよりはたまたスペックよりも、ユーザーがそれを使った時の体験を想像してもらうこと「使いやすい」「楽しい」「心地よい」などのUXを体感してもらえるかどうかが実は重要です。しかし、手に取っていただいたからにはもちろんその責任を果たす必要がありますので、決して変なものは売れませんね。

UIとUXは何が違う?


UXと似たような意味で使われる言葉にUIというものがあります。UIについてはまた別に記事を書いてみようと思いますが、UXを理解する為にも必要とおもいますので少し触れることにします。

UI(ユーザーインターフェース)

User Interfaceの略であり、インターフェースは接点や接触面という意味を持ち、製品におけるUIとは、ユーザーと製品やサービスを繋ぐ接触面のことを指します。Webサイトであれば、パソコンやスマートフォンに表示されるメニューボタンやフォントであり、ユーザーが操作するときに視覚で捉えられる情報はすべてUIです。UIはデザインや形の違いで、使いやすいかどうか、ユーザーにとって好まれるかどうか違ってきます。

たとえば、Windows8とWindows10のデスクトップ画面は大きく違いますし、スタートメニューやアイコンも違います。このような見た目がUIであり、デザインの仕方で大きく変わるのです。

UIの記事はコチラでも。

UIはUXの要素の1つ

UIはUXの中に含まれており、UXを構成する要素の1つと考えてもいいでしょう。UXといえば、利用者が商品やサービスを利用するときに感じる満足度や使い心地、使い勝手であり、UXは目で見える部分だけでは決まりません。一方でUIは画面表示や文字入力など触れることができるものであったり、目に見える使い勝手や仕組みであり、UXの中でも目に見える部分をいいます。UIのデザインにユーザーの体験。つまり使い勝手が良いか悪いか、使い心地が良いか悪いか決まるので、UXの1つと考えられます。

UIは目に見える部分なので、使い勝手が悪ければ改善しやすいのですが、UXは目に見えない部分が関わるので改善は難しくなります。なぜユーザーが使い勝手が悪く、心地悪いと感じるのは予想し理解しないと、改善はできません。

UXが求められる背景

UXは最近になって特に重要視されるようになってきました。その1つの理由はスマートフォンの普及です。パソコン、タブレット、スマートフォンと、インターネットに接続するデバイスは多様化し、それ故にサイトにアクセスしても、それぞれのデバイスで画像や文字などの表示が違います。1つだけでなく、それぞれのデバイスを想定したデザインが求められています。

機能による明確な差別化が難しい

現在は多くサービスや商品が飽和化しており、ユーザーにとっては選択肢が多数あります。そのような背景もあり、ユーザーは値段や機能だけでなく、実現したいことはできるのか、心地よく使えるかなども考慮します。そのために、UXが競合との差別化に繋がるのです。

顧客満足度を高めることを重要視する

使い勝手が良いことは、UXを高める重要な部分であり、それは顧客満足度にも繋がります。利用者にとって心地よく満足度が高い商品やサービスであれば、より購入繋がりやすく、売り上げアップになるからです。

ただ顧客満足度を高めるには、どこか1カ所や商品1つだけ特化し使い勝手や使い心地を良くしても、顧客満足度に繋がりません。UXではサービス全体をデザインします。たとえば、ECサイトでも、昔はパソコンのみでありパソコンで購入できるサイトを作れば良かったのです。その後スマートフォンが登場したら、スマホ対応すれば売り上げが上がりました。しかし今は、スマートフォンもパソコンも使うので、それら全体に対応したデザインをしないとならないのです。別途電話の購入窓口を用意したり、他社では体験してもらえないサービスの質を向上させることでユーザーが感じ取るUXの向上に努めます。販売だけに関わらず商品の受け渡しからそのあとのサポートまで。顧客の体験を向上させるには様々な施策が必要になります。

まとめ

UXというと目に見えない部分が多くあるので、改善するにしても、どうすればいいか考えにくいかもしれません。まずは売りたい物に対して、ターゲットは誰か考えます。主婦なのか、20代の女性か、独身男性かなどです。ターゲットが見えれば、UXのために何を改善していけば具体的に見えてきて、ユーザーエクスペリエンスを高めやすくなります。(ペルソナを定めるといいます)また、購入後アンケートなどを通してユーザーからの声に耳を傾け、製品に反映させることもUXの向上につながると言えるでしょう。どのような方法をとってUXの向上に努めたら良いか分かりにくい場合はこの人を喜ばせるにはどうしたらいいだろう?と思い切って1人に絞って考えてみるのも良いでしょう。すべての人にとって良いデザインというものは、存在しません。適切なペルソナを切り出し、常にユーザーにとって意味のあるデザインを心掛けることが大切です。

最後に、自社のサービスを俯瞰して見つめてユーザーの体験価値を向上させることはとても素晴らしいことです。しかし、ユーザーの声を聞きすぎるあまり、自社製品の強みを消してしまうようなことだけはあってはなりません。唯一無二の商品価値を培っているのは産み出している側のアイデンティティであることも忘れてはならないとても大切なことです。