Webサイトのクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)を上げるために欠かせないテストがABテストです。サイトデザインをあれこれ苦労して構築しても、そのサイトが本当にユーザーを引き付けているかどうかは、実際にユーザーに効いてみないと分からない部分があります。

今回は、WebサイトのCVRアップを目指すテスト方法として知られるABテストを実施する意味と、使えるツール、ABテストのやり方などを解説し、ABテストをすぐ実施できる知識を提供します。WebサイトのCVR率が悪くてお悩みの方は、ぜひご一読ください。

そもそもABテストとは何なのか?

ABテストとは、Webサイトを2パターン以上作成し、一定期間を設けてどちらのサイトがより多くのCTRやCVRを得られるのかを確認するテスト方法です。ABテストは、莫大な広告費用をかけなくてもサイトデザインの簡単な改修だけで大きな費用対効果が見込める可能性のある手法です。ただし、やみくもに2パターンのWebデザインを用意するのではありません。

ABテストを実施する意味を考え、何を検証するのかについて、明確なイメージを持ってテスト用のサイトを作成することが重要です。ABテストは、手動で計測することもできなくはありません。ただ、統計上の必要性から一定以上のアクセス数が必要であり、自動的かつ、均等にテストページへアクセスを振り分けるなどの理由で、ABテスト自動化ツールを使う方が精度の高い結果を得られます。

ABテストに用いられるツールとしては、老舗の「Visual Website Optimizer」や「Gyro-n ABテスト」などがあり、それぞれできることに特徴があります。ABツールをいくつか紹介しますので、どのツールを使うか検討してみてください。

Visual Website Optimizer

初期費用 要お問合せ
月額費用 15万円~/月

ABテストのツールとして昔から使われているツール。直感的な操作性に加え、テストしたいページを改変しなくてもテストができるため使いやすい点が特徴です。ヒートマップ機能も付いていて高機能。ABテストの箇所以外にも有益なデータを集めることができます。

Visual Website Optimizer

Gyro-n ABテスト

初期費用 別途お見積り
月額費用 16,200円~/月

日本語で使いやすい国産のABテストツール。流入別、ターゲット別、各種デバイス対応など、テスト結果がよりこまかく分析できるようになっています。

Gyro-n ABテスト

Optimizely

初期費用 要問い合わせ
月額費用 要問い合わせ

テスト設計の自由度が高く、プログラミングの知識があればより細かいテストが可能なABテストツールです。最大の特徴は複数ページにわたるテストが可能な点。ヒートマップにも対応しています。

Optimizely

それぞれのツールは操作しやすく、ABテストのやり方自体はとても簡単です。ABテストで時間がかかる部分は、どういった部分をテストするかという方針を決める部分とテスト設計、そして一番のキモはテスト後の検証にあります。良い数値がでたら即反映。定期的なテスト検証と改善の繰り返しというサイクルを回すことにこそABテストの価値があります。

サイトのどういった場所でABテストを行うのか?

それでは、具体的にWebサイトのどういった箇所でABテストを行うと良いでしょうか。多いパターンは、ファーストビュー(トップページ)と実際にCVRを稼ぐお問い合わせや申し込みを実行するフォームの2カ所です。ファーストビューの印象ひとつで先に進むかどうかを決めるユーザーは多いですし、実際に商品を購入するボタンを押すときや、申し込みフォームに入力するページは、CVRに大きく影響します。

では、コンテンツの中身にフォーカスすると、どのようなパーツがABテストの対象になるでしょうか。一般的に多くテストされる部分を列挙します。

  • イメージ:視覚効果の高い部分であり、イメージを差し替えてテストをする
  • コンバージョンを決めるボタンの文言:コンバージョンを決めるボタンに書かれた文言を変える
  • コンバージョンを決めるボタンの色や大きさ:色や大きさで押しやすさが決まる場合もある
  • 大見出し、中見出し:端的にユーザーに魅力を伝えられているかどうか重要
  • リンク:リンクを設置が妥当かどうか、リンク文言も含めて検証

テストしたい要素はいろいろありますが、実際にテストを行うときは、単純に比較できるようにテスト設計する必要がります。あまりいろいろな要素を突っ込んでテストすると、何が影響してそのテスト結果になったのかが分からなくなってしまうためです。

ABテストをする際の注意点

ABテストを効果的に行うためには、メリットとデメリットを知ったうえで、注意ポイントを把握しておくことが必要です。まず、ABテストのメリットとデメリットから紹介します。

ABテストを実施するメリット

  • Web広告によるCVRアップに比べて費用対効果が高い
  • Webサイト全体の改修よりもピンポイントで行えて工数もかからない

ABテストを実施するデメリット

  • テストする内容を明確にしないと正しい成果が得られない
  • テスト設計に手間がかかる
  • その時の結果がいつまでも続くとは限らない(定期的な検証を繰り返すべき)

ABテストは、より小さな手間とお金で大きな売上アップにつながる可能性のある施策です。ただし、テストをする前にしっかりと検討をして綿密にテスト設計をしないと、テスト結果が正しいかどうか分からなくなる危険性があります。

ABテストで得られた結果がずっとそのまま続くとは限りません。そのときのトレンドなどの変化によって、変動が起こる可能性も避けられません。ABテストによる検証は、定期的に行うことも視野に入れましょう。

ABテストを実施する際の注意点は、自社サイトの分析、何が問題なのかの見極めとテスト設計をしっかりすることです。ABテストの実施が初めてで難しいと感じる場合は、社外セミナーでテスト設計方法を学ぶ、あるいはABテストが得意な会社のコンサルティングを受けることも検討したいところです。

ABテストを実践したいが予算がない…

高機能なABテストツールはその便利さと有益なデータ収集が可能ではありますが、先立つ予算も必要です。いまからウェブサイトの運用をするというケースだったり、初めてのABテストなのでまずはどんなものか雰囲気を掴みたいという場合は無料で始められるツールでその感触を確かめてみるのもいいでしょう。データ収集、検証、改善のサイクルを回すことを覚えてから高機能な有料ツールに移行することをオススメします。

Google Analytics

初期費用 無料
月額費用 無料

お馴染みGoogleアナリティクスを利用してA/Bテストを行うことが可能です。「行動」>「ウェブテスト」を使って実施することができます。
注意しておきたい点は、Googleアナリティクスではテスト時にメインのHTMLに加えてテスト用のURL(別ページ)を用意する必要があることです。コピーコンテンツと判断されないように検索クローラーの設定はオフにしましょう。

Googleアナリティクスのウェブテストは、一般的な A/B テストや多変量テストとは若干異なるA/B/N モデルを採用しています。A/B テストのように 2 パターンのみのページをテストするのではなく、多変量テストのように単一ページの構成要素をさまざまに組み替えてテストするのでもありません。ウェブテストでは、1 つのページのバリエーションを最大 10 パターン用意し、それぞれ異なる URL で表示します。
参考:アナリティクスヘルプ

Google Analytics

TCD OOPS!

既存のサイト、ウェブページにチェック機能、コンテンツミックス機能を設置する形ではありませんので、他のABテストツールとは異なりますが、ランディングページ構築からワンストップでCTA箇所のABテストを行うことができるWordPressテーマ「OOPS!」。OOPS!はCTAバナーを3パターン組み込むことが可能です。セットしたCTAをランダムに出し訳け、そのコンバージョンを測定。WordPressのダッシュボードで日々その数値の遷移を確認することが可能です。

ハイクオリティなデザインのLPサイトを立ち上げつつ、その検証・改善サイクルを一気に回すことができるWordPressテーマです。

デモサイト 販売ページ

まとめ

ABテストを正しく実施すれば、Webサイトによって得られる利益は大きく伸びる可能性があります。ファーストビューや申し込みフォームなど、よりユーザーに好まれるデザインを作り込み、効果があがるかどうかをABテストで検証しましょう。ABテストを実施する前には準備をしっかり行ってください。テスト自動化ツールも可能な限り導入して、統計的に信頼できるデータを収集し、より高いCVRを得られるWebサイトを目指しましょう。

ABチェックを行うことが大事なのではなく、改善を目指した行動を止めないというのが一番大事なことですね。