マイクロソフトが、旧式のウェブブラウザーInternet Explorer(IE)を使い続けるのはコストが高いとして、その使用を辞め、最新のブラウザーを使用するよう求めています。今後は「Microsoft Edge」が「Chromium」ベースのWebブラウザーとして開発が引き継がれていくようです。

Windows 10 においては、Microsoft Edge と Internet Explorer というふたつのブラウザーが搭載されていますが、弊社としましては、Internet Explorer との後方互換性が必要な業務 Web システムには Internet Explorer を利用いただき、Internet Explorer でなければならない場合以外は Microsoft Edgeをご利用いただくことを提案してきました。この考え方は今も基本的には変わりはありませんが、現在の Web アプリケーションが古いブラウザーである Internet Explorer 固有の機能に依存している状態であれば、そうした依存性を無くし、最新のブラウザーである Microsoft Edge で閲覧できるように見直していただくことを、今からご検討いただくようお伝えをしていくことが、私たちサポート チームの使命と考えています。
Internet Explorer の今後について

その他参考:Windows IT ProブログThe Mozilla Blog

すでに多くの一般ユーザーは既にWindows 10の標準ブラウザーである「Microsoft Edge」への移行を済ませているかと思いますが、企業や団体などではアップデートが提供されない高価で代用がきかない業務用ソフトを使い続けるために、いまだIEを使い続けているケースもあります。「Internet Explorer 8」 ~「Internet Explorer 10」のサポートは2016年に打ち切られています。そして多くのウェブアプリケーション開発者は、いまやIEの表示互換性をあまり考慮していません。マイクロソフトはWindows 10のサポート期間中はIEの動作も保証しているので、2025年10月までは一気にシェアが減っていくということは無いかもしれませんが、一つの終わりが見えているという状況になったと思って良いでしょう。

ここ数年、WEBブラウザーに関わる開発を行っている業界ではIEがしぶとく生き残っている様子をよくネタにしていたものですが、私たちがここから学べることもあるのではと思います。

現存するIEユーザーは、周囲が激推しするFirefoxやChromeに乗り換えるという選択をしなかった人たちで、一定数居続けています。Chromeをはじめとする最新のブラウザーにどれだけ便利なプラグインがあるよと言っても、「慣れているから」というだけの理由でブラウザーを変えることを嫌がり、変化を受け入れるのが面倒だという層。新しいブラウザを導入することで業務に支障を出すわけにはいかないから、という企業の利用者層。そのそれぞれがここまでIEを使い続けたということですね。大きな変化が起こる時のユーザー心理、動向として非常に興味深い点だと思います。情報感度の高い人ばかりだったら移行が一気に進むというわけでもなさそうです。

どれほどスマートフォンが便利だとメディアや周囲の人間が言っていても、実際に乗り換えたら「ああ、こんな便利なものだったんだ」という感想を言うようなものであっても。ガラケーのシェアが一定数残り続けていたというのも同じような事例のひとつでしょう。たとえレガシーなものであっても、置き換えられない、それでなくてはならない理由はさまざまな要因で存在して。それが安定性の高いシェアを占めるというところでしょうか。ビジネスのヒントがありそうです。

皆を驚かせるような革新的な機能実装も一つの重要なビジネスモデルですが、既存シェアを持った旧仕様に馴染んだユーザーの未来をフォローする製品開発も忘れてはいけませんね。

IEのサポート状況

OS IE サポート終了日(日本時間)
Windows 2000 Pro IE5/IE5.5/IE6 すでにサポート終了
Windows XP IE6/IE7/IE8 すでにサポート終了
Windows Vista IE7/IE8/IE9 すでにサポート終了
Windows 7 IE8/IE9/IE10 すでにサポート終了
Windows 7 IIE11 2020年1月15日
Windows 8 IE10 サポート終了
Windows 8.1 IE11 2023年1月11日
Windows 10 IE11 2025年10月15日
OS IE サポート終了日(日本時間)
Windows 2000 Server IE5/IE5.5/IE6 サポート終了
Windows Server 2003 IE6/IE7/IE8 サポート終了
Windows Server 2008 IE7/IE8 サポート終了
Windows Server 2008 IE9 2020年1月15日
Windows Server 2008 R2 IE8/IE9/IE10 サポート終了
Windows Server 2008 R2 IE11 2020年1月15日
Windows Server 2012 IE10 2023年1月11日
Windows Server 2012 R2 IE11 2023年1月11日
Windows Server 2016 IE11 2027年1月12日

新しくベースとなる「Chromium」とは?

簡単に言うと、「Google Chrome」のベースとなっているオープンソースプロジェクトの名称のことで、レンダリングエンジン「Blink」やJavaScriptエンジン「V8」など、さまざまなプロジェクトが含まれています。「Chromium」ベースのブラウザは「Google Chrome」のほかにも、「Opera」、「Vivaldi」、「Kinza」、「Blisk」などが有名で、それぞれ個性的な追加機能を持っているブラウザーです。

「Microsoft Edge」ブラウザも同じ「Chromium」をベースとなることで、大量のユーザー、開発者の注目を集めるオープンソースの開発サイクルの恩恵を受けることが可能となります。「Chromium」をベースブラウザへの対抗勢力として「Microsoft Edge」は開発が進められていたわけですが、Googleの巨大な開発勢力を前に3年ほどで事実上の白旗ということになりました。

起こりうるメリットなど

ひとつめに「Microsoft Edge」にこれまで未対応だった最新のWeb標準技術が使えるようになる。つまり、「Chromium」をベースしたブラウザでは使えるのに「Microsoft Edge」では利用できないというソースコードがなくなることで、「Microsoft Edge」で閲覧した時に見た目が変わってしまうというウェブサイトが大幅に減ることに繋がります。

Webサイト開発者にとっては、対応しなければならないWebブラウザーが減って制作コストが下がる。利用者にとってはWebサイトごとにブラウザーの切り替えることなく閲覧できたり、表示が崩れて残念な気持ちになることも減るでしょう。WordPressユーザーにとっても「Internet Explorer」「Microsoft Edge」を使うことでの表示崩れはサイト制作者の悩みのタネでしたが、この悩みが軽減されるという話題は素直に喜んでいいものだと思います。

これからのインターネット

インターネットの歴史において、ひとつの時代が終わることになります。

今回、Microsoftが「EdgeHTML」を捨てる判断をしたことで、残ったメジャーエンジンは「Chromium」に採用されている「WebKit」「Blink」、そして「Firefox」の採用する「Gecko」のみとなりました。

Chrome(Blink)/Firefox(Gecko)/Safari(WebKit)/Edge(EdgeHTML)

「Blink」は「WebKit」から派生したものですので、「Blink」の対抗は「Gecko」のみという状況。「Firefox」がChromiumではなくGeckoを採用し続けるのは決してビジネスのためではなく、インターネットとオンライン生活の健全性を保つべくGoogleと競合するためである。とMozillaは表明していますが、相手は天下のGoogle。「Gecko」ただ一つに、インターネットの多様性を背負わせているという状態は、実はとても危険な状態ともいえるかもしれません。

ただ単に厄介だったIEさんが居なくなりました。ということでなく、この出来事の意味を今一度考えてみるのも良い機会かもしれません。インターネットのこれまでの繁栄にIEが果たした功績(?)はどれほどのものであったでしょうか。ともかく、まだまだIEをメインで使っているよーという方は、残された期間に無理のないスケジュールで新しいブラウザーへの対応を行うようにご準備を。