「SNSで成果を上げた事例」というような記事を頻繁に目にします。インターネットの業界に10年以上いると、SNSの影響度が拡大していることを実感します。一方で、SNSの急速な普及と進化の陰で、マーケティング担当者・広報担当者には、新たな悩みが生じているのではないでしょうか。乱立するSNSプラットフォームのどれに手を出したらいいのか、新しいプロジェクトの立ち上げに際して「SNSをこれから始めようとしている」「SNSのアカウントはとったけど活用できていない」という方の為に日本で普及しているSNSについてまとめてみました。

SNSは手段であって目的ではありません。SNSを始めよう→●●のアカウントを取得した→さぁ何を投稿しよう…という進め方では上手くいかないかもしれません。まずはどのような目的(ゴール)を達成したいのかを明確に決めて、その目標達成に適したSNSアカウントはどれで、どのような運用をしたらいいのだろう?と考え直してみましょう。

SNSは目的に向けて戦略を構築できるものを選択する

それぞれのSNSのアカウントを運用するだけではそのサービスを使いこなしたことにはなりません。それぞれのSNSサービスの中にはざっと挙げたとしても…

  • アカウント自体の運用
  • ソーシャルリスニング(※1)
  • インフルエンサーマーケティング(※2)
  • SNS内有料広告
  • アクティブサポート(※3)
  • トレンドキャンペーン

といった内容があります。SNSアカウントを作り、運用するべきかを検討する場合、SNS内のアカウントサービスがどのような形で提供、運用されるのか、その単価と効果なども調査した上で決定をするようにしましょう。SNSアカウント運用はしっかりと行うことで着実に効果を上げることができるマーケティング手法です。最初は地道に活動することになるかと思いますが、その行動を無駄にしない為にも最初のサービス選びはしっかりと行っていきましょう。

(※1)ソーシャルリスニング
ソーシャルメディアから消費者の生の声を収集、分析し、マーケティングに役立てる手法を指します。
(※2)インフルエンサーマーケティング
特定のコミュニティにおいて強い影響を与える人(インフルエンサー)と提携、協力してもらい、消費者の購買行動に影響を与えるマーケティング手法
(※3)アクティブサポート
Twitterを例とすると、自社商品へのツイートをリサーチして、感想、不満を見つけて直接アプローチして対応をすること。顧客からの問い合わせを待つのではなく、こちらから能動的にサポートをしていく手法

TikTok(ティックトック)


中高生を中心に人気のショートムービー共有SNS。動画を投稿できるSNSは他にもありますが、TikTokに投稿される動画は用意された音楽に合わせて口パクしたり踊ったりする動画で大半を占めているのが特徴です。投稿することに迷わないUIが整っていて、お題、音楽などに動きを合わせることで動画をつくることができ、用意されたフィルターで加工をしてそのまま投稿できるという手軽さと、フォロワーの増えやすさが10代を中心としたユーザー(~40代まで)に受け入れられています。YouTuberのように「TikToker」が注目されていくのは間違いないでしょう。

これまで純広告のみでしたが、2019年は運用型広告もスタートしています。「TikTok広告」元年ともいえる年になるのではないでしょうか。ユーザー動画に混じって流れてくる広告動画は全画面を占有するTikTokのUIのお陰でこれまでのインフィード広告と似て非なるものである印象を受けました。慣れたユーザーにとっては一瞬で広告と判断して飛ばされてしまうかもしれませんが、「どこかで見たことがある」という印象の蓄積には十分役にたちそうだなと思います。画面の占有率が100%というのはとても強烈で、ユーザーの視覚に大きなインパクトを残すことが可能です。「ハッシュタグチャレンジ」というPR手法も注目です。ハッシュタグに乗っかることがTikTokの楽しみ方としてユーザーに浸透しているので、ハッシュタグを付けたインフルエンサーの投稿からの波及で急速にPRブランドとユーザーの距離を縮めながら訴求することを可能にしています。2019年はTikTok広告からは目が離せません。広告の出稿についてはbytedance株式会社へお問合せください、窓口は登録代理店経由となりそうです。もしクリエイティブにおける信頼がある広告代理店があれば相談をしてみると良いかもしれません。

TikTok bytedance

Twitter(ツイッター)


拡散の速さは随一で、ゆるいつながりであることが特徴のSNS。匿名登録で1人が複数アカウントを所持し「●●専用アカウント」という使用をするケースも多い。最大の特長は1回の投稿における文字数制限(日本語・中国語・韓国語は140文字まで、それ以外の文字は280文字まで)がある点だが、連続投稿も好まれる傾向がある為、ボリュームのあるテキストコンテンツであっても分割するなど投稿方法を工夫することで多く拡散される。リアルタイムで見ているユーザーが直感的なリアクションを起こす為、他のSNSに比べて拡散性が強く、炎上も起きやすい。

アナリティクスなどのデータ面も管理しやすいので広告の効果についても把握をすることができます。Twitterの広告は2次拡散(有料広告として露出した投稿をユーザーの意志で拡散した場合)による広告費は一切かからないので、バズを起こした場合、低い予算で新たなユーザーにリーチしやすいという特徴があります。クリック単価(Cost Per Click)も運用可能で、一般的な検索エンジンのCPC広告よりも予算が低めです。Twitterのユーザー特性から見てもお得感があるように感じます。

twitter twitter business

Facebook(フェイスブック)


世界で14.9億人以上が毎日使うSNS。実名登録で基本1人1アカウントがルールで、実名制の為かプロフィールをきちんと入力するユーザーが比較的多い印象です。ビジネスパーソンの利用も目立つ一方で、最近は閲覧専門というユーザーも多い。あくまでも個人的な印象を含む傾向ではありますが、格式ばった雰囲気を持つSNSであり、企業アカウントの投稿は、固めの文体であることが多く、情報量も多めです。クローズドなグループやイベントといった行動もある為、表層的に見えている以上にアクティブユーザーは多いと感じます。しっかりと情報を読んでもらいたいという場合に適したSNS。実名に紐づいていることで炎上は比較的しにくい傾向にあるが、その分拡散力も控え目です。

ターゲティング精度が高い広告運用が可能です。細かな条件設定により、アプローチするターゲットの明確にすることでFacebook広告の活用メリットが大きくなります。性別、年代、趣味、住んでいる地域など、広告出稿前に詳細条件を設定できるため、狙ったターゲットに広告を届けられる可能性が高まります。詳細に狙いを定めやすい万能な使い方ができるfacebookの運用はオススメです。

Facebook facebook business

LINE(ライン)


国内7,800万人突破!今や生活において必要不可欠なツールとなったSNS。月間アクティブ率が他のSNS媒体と比較しても抜群(10%~30%程)に高い数値が出ています。FacebookやTwitterはほとんど使っていないというユーザーもLINEならいつも使っているというケースが多く見込める印象です。ほかのSNS広告ではリーチできない人にも情報を届けられるというメリットは大きいのではないでしょうか。

以前は、最低出稿金額100万円という少々高いハードルもありましたが、現在は特にそのような規定もなく、規制されていたジャンルについても広告運用が許可されるようになっています。他SNSに比べて高いアクティブユーザー率を誇っているので、多くの方への露出を期待できます。まだLINE広告をご利用でないという方は是非一度検討してみてもいいのではないでしょうか。Facebookほどの細かい設定はできませんが、ある程度個人の属性・嗜好に合わせた広告の配信が出来たりするので、しっかりとターゲットを決めた広告運用が可能です。

LINE LINE Ads platform

YouTube(ユーチューブ)


現時点において日本で最も利用者数が多い動画共有のSNS。YouTubeは「あなたのブラウン管」という意味だそうです。YouTuber(ユーチューバー:動画提供者)は今や子どもたちの成りたい職業としても定着しました。テレビに代わる情報媒体として幅広い年齢層の利用者がサービスを利用しています。

YouTube広告(TrueView)はGoogle AdWordsのアカウントから広告のキャンペーン、グループを作成して配信をします。通常のバナーよりも動画バナーはクリック率が高い傾向にあるようで、注目を集めている広告媒体です。TrueViewには「TrueViewインストリーム広告」と「TrueViewディスカバリー広告」の2つが存在します。「インストリーム広告」は動画の途中に表示させる広告で、強い注目を集めることができる反面、ユーザーのネガティブイメージにも成りえます。露出のバランスには注意をするようにしましょう。広告の露出数、注目度が高いにも拘わらず、最後まで広告を見たユーザーとクリックなどのアクションを起こしたユーザー分しか課金されないので、興味関心の高いユーザーにのみコストをかけることができる施策といえます。「ディスカバリー広告」はYouTubeの検索結果一覧、視聴している動画右横の関連動画欄に広告動画のサムネイルとテキストで形成・表示露出され、ユーザーがクリックすることで広告が再生されます。キーワード、ターゲットを絞り込んだ広告運用が可能です。

YouTube YouTube 広告掲載

Instagram(インスタグラム)


写真、動画でつながるSNS。過去に撮りためた写真を「フィルター」という加工フォーマットを使い、見栄え良く整えたものを友人、知人と共有することができるSNSです。国内のユーザー数がFacebookを超えたというレポートもあります。まさに今現在拡大し続けているるSNSといえるのではないでしょうか。IGTV(縦型動画)、ショッピング機能、など新たな付加価値も続々と実装されているのでこれからもしばらく注目が集まりそうです。女性の割合がやや高めですが印象以上の差(4割以上の男性ユーザー)はないようです。画像・動画の魅力や世界観がユーザーからの反応数に影響があるので、アカウントの投稿全体で世界観を表現したほうが良いでしょう。またハッシュタグからの検索、ハッシュタグフォローが活発なので、適切かつ効果的なハッシュタグ選びは投稿時に最も気に掛けるべき箇所です。

InstagramはFacebookが運営するサービスですので、広告もFacebookユーザーの情報を基に設定することが出来ます。つまり、Facebook同様、多彩なターゲティングが可能です。言語、地域、年齢、性別、興味関心、行動、または既存の顧客データをインポートしたものまで、細かく指定ができます。Facebookよりも写真、動画を使った訴求となるのが特徴です。、「広告画像のテキストについて」というページが設けられていますが、テキスト量が不適切に多い場合、広告の露出が制限される場合があります。他のSNSに比べて、ビジュアル面での訴求効果を期待するものですのでクリエイティブコストが高い広告となります。うまくハマれば抜群の効果も期待できるので、訴求するサービスがInstagramのユーザー属性に合いそうであれば、検討の価値は高いと思います。

Instagram facebook business

LinkedIn(リンクトイン)


ビジネス専用のSNS。現在では世界200カ国以上24言語にわたって使用されています。非常に大きな規模を誇るグローバルプラットフォームです。個人ユーザーは、ビジネスをする上での人脈構築や就職活動、転職など新しいキャリアチャンスを求め、コミュニケーションを図っています。また、企業ユーザーの方では、新たな人材獲得へのアプローチができる入口として、自社の商品やサービスについて発信するプラットフォームとして活用しています。

LinkedInの広告は、ビジネス・プロフェッショナルの登録数がとても多いこと、仕事で利用している方が多いことからユーザー情報の正確性が高いこと、細かいユーザーセグメントで露出をすることが可能なことがメリットとして挙げられます。

LinkedIn LinkedInMarketing Solutions

Pinterest(ピンタレスト)


「ピン」と呼ばれる操作でピンボード風の写真共有、収集に特化したSNS。イベントや興味のあることをテーマ別の画像コレクションに編集して管理することが可能。Pinterestは月間で2億人以上の利用者がいるサービスです。Facebook、Twitterなどにくらべるとユーザー数は少ないですが、Pinterestは画像収集が主であり、ユーザー間のコミュニケーションを活発化させるような仕組みはありません。つまり、他のSNSではリーチできない層へのアプローチができる可能性があります。

SNS内の広告露出に関しては現段階では日本国内では使用できないようです。しかし、楽天、ZOZOTOWN、cookpadなどにおいて「ピン」を使うことができるように、日本企業の間でも注目されているサービスであることは間違いありません。今後の展開に期待しておきましょう。

Pinterest

Snapchat(スナップチャット)


送ったメッセージが10秒程度の時間で消えてしまうSNS。「スナチャ」の相性で親しまれています。写真や動画を加工したもの(スナップ)や、メッセージを送りあうことが出来るアプリで、海外では若者を中心に人気を博しています。あまり使ったことがない人からするとInstagramに似ている印象を受けるSNSですが、使ってみると全く違うことが実感できます。Snapchatの特徴は個人間のやり取りが主になっていて、送信者は10秒以内の好きな秒数を指定することができます。、受信者が送られてきたスナップを表示してから送信者の指定時間が経過すると、コンテンツが自動的に消滅。再表示することが出来なくなります。送った写真が勝手に「消える」という点が、安心感や気楽さに繋がり、気軽にメッセージを送れる、ふざけた写真や動画も送れるメッセージアプリとして高い人気を誇っています。企業が運用するアカウントとしては使いどころが難しいのですが、以下広告を絡ませてスポット運用することで一つのPRオプションとなりえるかもしれません。

Snapchatは広告運用が可能です。そのメリットは、メインユーザーがTwitterやInstagramなどと同じ10代を中心とする若年層であるという点にあります。企業のほとんどがTwitterやInstagramに力を割いている状況ですので、Snapchatのフィールドには競合他社が少ない状態で広告配信を行うことが出来てしまいます。自社サービスがとても特徴的なものであればTwitterやInstagramに露出をすることでより高い効果を期待できると思いますが、類似サービスがある中での露出となると埋もれてしまう可能性も増してきます。同業他社が少ないエリアを攻めるというのも一つの効果的な手法であることは間違いありません。

Snapchat Snap 広告ポリシー

WhatsApp(ワッツアップ)


コミュニケーションアプリでは世界一シェア率を誇る「WhatsApp」。10億ユーザーが利用しているアメリカ発のチャットサービス(2016年にFacebookが買収)です。世界規模で見たらLINEよりも断然シェア率が高い。日本を含むアジアではLINEがシェアを伸ばしているようですが、欧米諸国ではなかなかWhatsAppの牙城を崩すのは難しそうですね。Facebookが買収してからは2年目以降も無料で使用できるようになり、今後facebookとの連携(「Click-to-WhatsApp」)も強化されていくようですので…近い未来、facebookとワンセットでの運用が必須となるかもしれません。海外の方とやり取りをする場合はすでにスマートフォンにインストールされている方もいるかと思いますが、知らなかったという場合であっても、SNS担当になった時には触っておいた方が良いアプリと言えるかもしれません。

WhatsApp

参考:Facebook広告の「Click-to-WhatsApp」が機能を拡大 – Unyoo.jp

まとめ

国内で事業を展開するにあたって把握しておいて損がないSNSを集めてみました。SNSサービスは日々進化していきます。規約の変更なども突然として行われることがありますので定期的に新しい情報を入れるようにしていきましょう。SNSの運用は目的を達成する為に行われてこそ価値があると思います。自分たちがリーチしたいターゲット層と、アプローチ戦略をもってSNS運用での成功を目指してください。最初から上手くいくことは滅多にありません。行動と検証を繰り返しながら、SNSを自分たちの武器にできるように試行錯誤していきましょう。

以下に最新のSNSトレンド、ユーザー数などのデータがまとめられていました。気になる方は参考にどうぞ。
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