インターネットやスマホの普及に伴って、ユーザーの購買行動も大きく変わってきました。必要な情報はいつでも検索できるため、売り手側からの一方的な広告を敬遠するユーザーが増えているのです。そのため、顧客を獲得するためのコストも上昇傾向にあります。そこで、効果的なマーケティング手法として注目を集めているのが、オウンドメディアを使った情報発信です。この記事では、オウンドメディアを運用する5つのメリットと運用のポイントを紹介します。

オウンドメディアとは

オウンドメディアとは自社が持つ媒体のことで、コストをかけて広告を掲載するペイドメディア、信用や評判の獲得を目的とした口コミサイトなどのアーンドメディアとは区別されます。広い意味でのオウンドメディアには、企業サイトやブログ、SNS、メールマガジンなどネット系媒体の他に、広報誌や機関誌、ニュースレターなど紙媒体のものも含まれます。しかし、オウンドメディアという場合は、自社で運営するウェブマガジンやブログを指すのが一般的です。インターネットが普及したことにより、簡単に自社媒体を持てるようになりました。WordPressなどのCMSを活用してオウンドメディアを構築している企業も多く、ユーザーにとって有益な情報を発信することで、見込み客獲得やブランディングに役立てています。

メリット1:質の高い見込み客を獲得しやすい


オウンドメディアのメリットとして、質の高い見込み客を獲得しやすいことが挙げられます。オウンドメディアは広告などのように掲載枠などの制限がないため、自由にコンテンツを作ることが可能です。そのため、ターゲットとして設定したユーザーが興味を持ちそうな情報、役に立つ情報を好きなタイミングで発信できます。継続して有益な情報を発信すれば、ユーザーからの信頼も得やすくなります。「この会社の商品は信頼できそう」「この企業はたくさんノウハウを持っていそう」と思ってもらえるようになるでしょう。そこで、ユーザーに資料請求や会員登録、無料レポートダウンロードなどを促す仕組みを作れば、反応してもらえる可能性も高まるのです。その結果として、質の高い見込み客を獲得することが可能になります。

メリット2:コンテンツが資産になる


オウンドメディアで発信した情報がコンテンツとして資産になるのもメリットです。広告などの場合は、時間が経てば人の目に触れなくなり、その効果も一時的なものですが、オウンドメディアでは一度発信した情報がそのまま掲載され続けます。ウェブマガジンやブログで記事を投稿し続けていくと、コンテンツが充実してサイトとしての価値も高くなります。

ユーザーにとって役立つ情報が豊富なサイトとして、SNSなどで拡散される可能性も高まるでしょう。検索エンジンからの評価も高まるので、検索順位アップも期待できます。記事を投稿すればするほど、ロングテ-ルSEOの効果も出てくるので、アクセス数も増えるでしょう。また、作成したコンテンツを他の媒体で利用することもできます。たとえば、蓄積されたコンテンツを小冊子にまとめる、営業用のツールとして利用する、メールマガジンで配信するようなことも可能です。

メリット3:広告宣伝費を抑えられる


オウンドメディアを活用すれば、効率的に見込み客を獲得できるので、広告宣伝費を抑えることができます。サイトに集客して見込み客を獲得する方法としては、リスティング広告などが挙げられますが、コストはどうしても大きくなります。クリック単価が上昇している傾向もあり、見込み客を獲得するためのコストも増加しがちです。しかし、ウェブマガジンやブログに掲載するコンテンツを社内で作れば、コストを抑えて見込み客を獲得することができます。

オウンドメディアを構築するコストやコンテンツ作成の手間はかかりますが、記事が増えていけばアクセスするユーザーも増えるので、費用対効果はどんどん上がっていくでしょう。一度オウンドメディアを構築すれば、広告とは違って半永久的に効果を発揮するので、広告宣伝費を抑えることができます。オウンドメディアを活用して広告に頼る集客から脱却すれば、利益率を高めることにもつながります。

メリット4:顧客との関係性を高められる

見込み客を育成したり、顧客をファン化したりして、その関係性を高められるのもオウンドメディアのメリットです。一方的に商品のメリットなどを訴求する広告とは違って、オウンドメディアではユーザーにとって役立つ情報、ユーザーが本当に必要としている情報を提供することになります。たとえば、商品を購入するメリット・デメリット、商品の正しい選び方、上手な使い方などの情報を継続して提供していけば、自社にとって都合のよい情報だけを発信する企業とは一線を画すことができます。

企業や商品に対する信頼も高まり、「どうせ買うならこの企業から」「利益優先の他の企業とは違う」と思ってもらえるようになるのです。オウンドメディアのコンテンツに接したユーザーの共感を得ることで、競合他社と大きく差別化できます。顧客がファン化するので指名買いやリピート購入も期待できるでしょう。価格競争に巻き込まれることもなくなるので、収益率を高めることにもつながります。

メリット5:効果測定しやすい


オウンドメディアには、従来の広告などと比べて効果測定がしやすいというメリットもあります。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールなどのツールを利用すれば、どんなユーザーがどんなキーワードでアクセスしているのかを把握することができます。また、どのコンテンツがよく読まれているのか、どのコンテンツがコンバージョンにつながっているのかを知ることも可能です。そのため、これらのデータを分析して掲載するコンテンツの内容、キーワード、ユーザーにアクションを促す仕組みなどを見直していけば、より高い成果につながります。

目標値とのギャップを埋めようと考えることで、改善すべき点や新たな施策も見つかります。たとえば、人気の高かった記事に関連する情報を追加する、検索数の多いキーワードを含む記事を増やす、無料のオファーを追加するなどの施策を行うことで、アクセス数やコンバージョン数を増やすことができるでしょう。効果をしっかりと測定してPDCAサイクルを回すことで、オウンドメディア運用の精度はどんどん高まっていくのです。

オウンドメディア運用のポイント

オウンドメディアを運用して成果につなげるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。まず、オウンドメディアを運用する目的を明確にすることが大切です。目的が見込み客獲得の場合とブランディングの場合とでは、配信するコンテンツも違ってきます。目的が明確になったら、コンテンツを届けるターゲットを絞り込みましょう。ターゲットがあいまいなままだと、発信する情報もぼやけたものになってしまい、効果を発揮できません。

ペルソナを設定すると、どんな情報が喜ばれるのか、どんな情報が必要とされているのかが具体的に見えてくるでしょう。デザインのテーマやトーンには統一性が求められます。全ページで統一されたイメージを発信することで、効果的なブランディングが可能になるのです。また、顧客をファン化するためには、双方向のコミュニケーションが欠かせません。ユーザーからの質問を受け付けるFAQページを用意したり、記事にコメントを書き込めるようにしたりすれば、ユーザーと接触しやすくなります。